未知の国、未知のパイロットたちと新しい仕事をしていければと願う。

例えば、３機の戦闘機を整列した状態から異なる角度・方向にターンさせる通称バナナスプリット。
それを別の戦闘機からワンショットで瞬間的に収める撮影は、私の名を取ってカツ・ブレイクといつからか呼ばれている。
戦闘機の性能、高度や速度、太陽の角度などを入念に計算するが、安全面 にも気を使う。
何千時間訓練したパイロットも、撮影用のアクションなど未経験のことが多いからだ。
しかも、事前にいくら綿密な打ち合わせを重ねても、実際に超高速の機体に乗って外国語で指示を出すのは容易ではない。
ひとつ間違えば事故につながる可能性もある。
だから１回のフライトに莫大な費用がかかろうとも、上空でパイロットがこちらの意図や想定パターンを100％理解していないと気づけば、躊躇なく中止して引き返す。
四半世紀ぶりに出版したシリーズ写真集蒼空の視覚ＳｕｐｅｒＢｌｕｅ３には、こうして撮影した作品を多数載せている。
その中には、映画トップガンで人気になったＦ―14トムキャット、夕景の中を飛行する旧ソ連製のミグ―21、武骨な機体が珍しいギリシャの Ａ―７などもう見られない機体や、ドバイの超高層ビルをバックに飛ぶアラブ首長国連邦機、空母シャルル・ド・ゴールを発艦する仏海軍機など、状況設定が難しかった作品も多い。
戦闘機好きといっても、実際の戦闘は望んでいない。
現代の戦争ではむしろ、派手なドッグファイトなど見られず、互いの姿が見えないうちに勝敗が決するだろう。
それより平和な状況下で、未知の国、未知のパイロットたちと新しい仕事をしていければと願う。
また、次は「セレナのシートカバー」について。
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